夏の名残りの薔薇

恩田陸

文春文庫

 

「ねぇ、『バラ』って漢字で書ける?」

っていうようなCMありませんでしたっけ?

うろ覚えです。

 

それはされおき。

雪山の中にそびえるクラシックなホテルを舞台に

少しずつストーリーを変えながら展開される物語。

 

 

最初に主題パートがあって、

それから少しずつ変化して物語が展開する「変奏」パートがやってくる、

その作りは面白かったけど、

「次はどうなる?!」という期待を個人的には高められなかった。。。

(どういう変化をするのかは楽しみだったけど)

やっぱり私は素直に事件が起きて、謎を解き明かす系の方が好きだなぁ、と

改めて思った次第。

あと血縁が絡むと、誰が誰の息子で、おばで、親父で・・・とややこしくなる。

どうしても登場人物が多くなりがちなクローズド・サークルの環境の中、

人数を抑えた方ではあるかもしれないけど、

こういうときわかりやすいキャラがあるといいんだねぇ。

(最近読んだ「インシテミル」と心の中でそっと比較)

 

巻末にあるインタビューで、

物語を閉じる・閉じない、の話は興味深かった。

「あえて閉じない世界」というのもあるのか、と学ぶ。